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●第6回 ターントレーニング②

◎トレーニングセット


GSの練習で写真Aおよび図1のように2カ所のバーチカルをセットしました。ただ、実際の大会ではこのようなセットはありえません。普通は図2で見る下が青のbかcですが、このセットではaの位置です。



これは上の青を中心に考え、これまでの連載のなかでも明らかにしましたように、アウトからインに入るライン取りを習得させるためのものでもあります。
下の青がbあるいはcにありますと、赤のオープンを直線的に入り、次の赤のオープンに入りきれず、デラパージュをしながら方向を決めざるを得ませんので減速スキーになります。
大会でのバーチカルの多くのセットは、次のポールヘの導入をするため、ロングポールを要求しています。
ですから、トレーニングでは次のポールヘのライン取りとターンドライブするのにちょうどいいように、下の青をaにセットすることです。これはGSのバーチカルの基礎になります。



◎大会でのバーチカルセットの見方

インスペクションでセットを見て「楽だ」「絞っている」とか感じられると思います。バーチカルのセットで図2の下の青がaおよびbの場合は絞っているように見えますが、これは目の錯覚です。
セットを見るときには赤のオープンから見て下の青がa.b.cのどの位置にあるのか確認する必要があります。ライン取りはバーチカルの前後のセットを見て決めてください。写真Cのバーチカルは、上から見て若干下のポールがオープン気味になっています。滑りを見るとスキーの先落としをしないで①ではすでにエッジが立ち、②ではインに入り過ぎスキーはインの方に力が入りすぎて真っすぐ走り、③ではアウトのスキーが逃げて、④で腰が引けエッジを少し外してターンを起こしています。
図3は、ターンの時の外スキーにかかる力の配分を明らかにしたものです。写真Cと比較しますと図の場合は①で15%の配分と平踏みに近く、③④⑤とどんどん荷重されて④では65%、⑤では85%になっていきます。写真Cの場合は、②で50%1③70%-④⑤と逆に荷重が逃げています。バーチカルでもきちんとターンを構成することが大切です。



◎上体を振り込んで夕ーン

写真Dを解説しますと、①はターンの始動時ですからスキーがフラットになっていなくてはいけません。フラットになることにより先落としになりますが、写真の場合はすでにターン構成を自分でかけ、50%の力で入っています。スキーが下に向いて、②では夕ーン
に入り、③でスキーの方向を決めなけれぱいけないのに、インスキーが真っすぐに行き、アウトのスキーが斜め方向に向いています。アウトのスキーのエッジは立っていますが、荷重が加わっていません。
ですからアウトのスキーは流されています。その状態が④です。スキーの方向を決めるためインのスキーで引っ張り、上体をインに倒し方向を決めに行っています。
⑤ではアウトスキーの先端は見えませんが、次のポールに向かず、流れたままで内倒でスキーを引っ張っています。
写真では分かりませんが、おそらく③④⑤でデラパージュをしてスキーを振り、内倒でスキーを引っ張っていますので、ポジションもうしろになり、スキーの滑りだけでターンをしているはずです。
⑦⑧⑨⑩では内倒になって入って来ていますが、⑧では外側の手首がすでに内側を向き、上体がインの方に向いています。この状態で入りますから、体が逆ねじれになり、アウトのスキーが逃げ⑨のようになります。
アウトスキーが逃げているため、方向決めのためにインスキーに乗って内倒でスキーを引っ張っています。
⑩の位置では図3に示したように、アウトスキーに85%~lOO%の力が加わらなければならないのにアウトスキーが浮いている状態ですから大幅なタイムロスをしています。

◎トレーニングでの実際の滑りから

写真Aを入れたのは、全体の流れのなかで、バーチカルをみてターンを構成してほしいからです。多くの社会人競技者はバーチカルの部分だけ見てターンを構成するためスキーをデラパージュしながらのライン取りをしています。写真Bの滑りでは、図2の口のライン取りになっています。①で赤をねらい過ぎ、②では直線的に入り、③でこのまま行くと、ハのラインになりコースアウトをするため、デラパージュして方向を変え、④では完全なデラパージュ状態で方向を決め⑤⑥でスキーを横にしています。



◎クロウチングからコブ斜面
この選手は凸部の手前まではよい滑りをしてきましたが、方向を間違えて失敗してしまいました。



上は緩斜面ですから、クロウチングを組みますが、赤の手前までクロウチングを組みますと、凸部のため下の青は見えません。ですから、赤からどの方向に青があるのか、インスペクションで確認しなければなりません。その場合、凸部下から赤そして青のライン取りを決めます。そしてスキーの方向を決めるため、木とか建物などに目標を設定することです。
④でスキーの方向が大幅に外れたために、あわててターンをして凸部のため腰が引け、青に引っかけ転倒しました。このような、ミスは、インスペクションのときにスキーの方向を定めておけばありません。単純なミスですが、写真を撮ったときの大会では、ここでの箇所のミスが多かったと聞いています。
幾つかの滑りを解説してきましたが、内倒や振り込みでのターンは社会人競技者に多く見られます。
インスペクションでは、バーチカル前後のライン取りや凸部でのスキーの方向を確認することはもちろんです。大会では速く滑ろうという意識ばかり先行するのではなく、今まで明らかにしてきましたターン構成のトレーニングをし、自分の体のポジションをしっかり覚えて大会に挑戦してほしいと思います。

 
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