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●第4回 ターンドライブ

ターンドライブとは、ターンの構成をエッジ一本分の細いラインで仕上げてポールをすりぬけることです。
社会人の多くは、ターンの前半で外足に荷重しないでターン中盤で荷重をしますが、最大傾斜線でスキーに圧を加えてもスキーは自然に曲がってくれません。スキーには長さがあるため、ターン前半で外足スキーに荷重を加えなければターンの構成がデラパージュ状態になり、減速スキーにつながってしまうのです。社会人の多くはターンで減速をしてタイムをロスしています。

GSなどでタイムを短縮するためには、ターンでいかに加速するか、またそのためにターンドライブをいかに上手に構成するかということが大切になってきます。そこで、細いラインを描いて加速するためのターンドライブをするには、どのようにすればよいのかを明らかにしていきたいと思います。

今まで、「いい位置に乗るとは」「ターンの理論及び練習」で明らかにしたトレーニングをすることにより、細いラインのターンを作ることができます。今までお話してきたように「いい位置に乗り」、膝だけを曲げるのではなく体全体を一緒に内側に押しつけるように夕―ンを仕上げていくことで、ターン前半でエッジが立ちスキーがまっすぐ滑っていくと思います。この動作を繰り返し行なうことにより、細いラインを構成する一連の動作が完成します。

練習の際に緩斜面があれば、ターンを確かめながら行ないます。その時、決して急に曲げるのではなく、徐々に夕―ンをすることが大切です。最初は大きな夕ーンで行ない、徐々に卵型の楕円形の細いターンにしていきます。普通は夕ーン後半が太いラインになりますが、細いラインになるまでトレーニングをすることが大切です。自分のラインがなかなか確認できない場合には、朝のきれいなゲレンデでラインを確かめましょう。

フリー滑走では細いラインでターンをすることができますが、ポールに入るとできない人がいます。それは、フリーの時は強制されることがないため自分の考えでラインを作ることができますが、ポールがあるとポールで曲げようとする意識が働き、ポールばかり目に入りターンドライブを忘れてしまう事にあります。

GSではターンドライブを細いラインで構成することにより、タイムを大幅に短縮することができます。

そのためには4~5旗門長めにポールセットすることが大事です。大会でタイムを大幅に短縮するためには、前回までにお話をした基礎トレーニングを行いターンドライブをしっかり身につけることが重要になります。また、ターンをしながら加速するということは言葉ではなかなか分からないと思いますが、何度もトレーニングを行い体でつかんで下さい。

◎実際のポールでの滑りから

写真A・Bは、同じセットです。Aセットにはターン始動時にあわせてスキーを踏んでも滑走面が傷つかないショートポールをセットしました。

A・Bを比較して見ると、Aは流れがよくターンが円を描いていますが、Bはターンが鋭角になっているのに気がつくと思います。Aはポールの上から入るように滑っていますが、Bはポールのところでスキーを曲げています。

A-①、B-①で、トップの方向がAは斜滑降、Bはフラットになりスキーが下に向いています。

Bでは②、③のターンの構成が仕上がらないうちにスキーが最大傾斜線をとらえているために、⑦では次のポールの方向を決めるためにスキーを鋭角にしてターンを仕上げています。

Aでは②一③の夕ーンの構成が仕上がっているため、⑦のポールの位置ではターンが終わって次のターンに入るポジションになっています。

ですから、⑦ではBの方はゆとりが無くポールの位置で方向を決め、エッジングを強めにしてしまっています。一方Aでは、夕―ンが終わり、スムーズに次のターンに入るポジションになっています。

写真 A                     写真 B










◎ターンの中での減速と加速


Bのラインは①~③まではスキーが下を向いているので速いように見えますが、Aのラインは静止画面と違ってスキーが走っているためほとんど変わりません。ターン後半スキーが走っているためBより速い可能性があります。また⑤~⑦のラインの夕―ン後半では、Bではエッジングを強めていますがAでは夕ーンがすでに終わり、加速をしています。
ことわざに「損をして徳をとれ」とありますが、Bのように強引にポールに突っ込むことより、Aのように遠回りのようでもアウトからインにターンドライブを仕上げる練習のほうがスキーの走りを体感できます。より多くの練習の積み重ねがタイム短縮につながります。

アウトからインにと思っても実際にはインからアウトになっていますので、練習では思いきってアウトにラインをとり自分の体でつかんでみましょう。
また、自分では気がつかないうちに早くターン始動をすることにより図①のようなターン構成になりますので、できる限りポール位置とターン始動時とのバランスを考えて練習してみましょう。

注)ターン準備期で先落とし(抜重)の位置が早いとスキーがフォールラインに早く向い、ラインがアウトポールに向かってしまうため自然にターン前半・後半とも横ずれをおこして減速につながります。

図①



◎補助ポールを使ったトレーニング

前回は"ターンドライブの棚成について説明してみましたが、今回はそれをポールトレーニングの中に取り入れてみましょう。内容的には、今までのテーマを元にしながら、よリ実戦的になっていきます。
しっかりとイメージ作りを行い、焦らずじっくりトレーニングを行ないましょう。

ターン準備期において、先落とし(抜重)が早すぎると、スキーがフォールラインに早く向き、結果ポールに早く突っ込むことになります。つまりポールを通過してからスキーにプレッシャーがかかることになり、前回明らかにしたように、ターンドライブを仕上げることができません。それを図①で見るなら、青斜線の滑走ラインになります。

したがって、理想のライン(図①では赤実線のライン)を滑るために、補助ポールを使ってターンを誘導することも、練習としては有効な方法です。
補助ポールのセットの仕方は、ライン取りを考え、補助ポールを過ぎて、実際のポールのところでターンが終わるようにセットします。また、補助ポールについては、滑走面に傷がつかないショートポールを使うのがよいでしよう。

◎中斜面および急斜面

先程も見ていただいた図①は、中斜面および急斜面での補助ポールを使ったライン取り(赤実線)と、先落としを早くしすぎたライン取り(青斜線)を図にしたものです。急斜面になると、落とされ方はより大きくなる為、補助ポールを中斜面よりアウト側にセットし、ターンを矯正することが必要です。

 
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